最近、“カンパン”という言葉をよく耳にする。カンパンといっても、非常袋に入れている乾パンではない。“肝斑”だ。シミのことなのか、それとは違うものなのか、とても気になっていたところ、大塚製薬が“肝斑”にも効果があると言われているスキンケア「インナーシグナル リジュブネイトエキス デュアル」を、第一三共ヘルスケアが日本初の“肝斑”医薬品として内服薬「トランシーノ」をそれぞれ発売した。どうやらこれは、ただごとではなさそうだ。そこで、東京都世田谷区にある古畑病院の古畑由美子先生に伺ってみた。
ずばり、“肝斑”って何ですか?
「“肝斑”というのは、皮膚にできる色素斑です」
つまり、シミってことですよね。
「シミの一種ではあるけれど、一般的なシミとは少し異なるのです」
その違いって??? “肝斑”というからには、肝臓と関係があるの?
実はこの“肝斑”という名前は、薄い褐色で形が肝臓に似ているところから付けられたのだそうだ。“肝斑”と一般的なシミを見分けるのに象徴的なのは、頬骨やこめかみ、額や口、首周辺にできて、比較的大きく、しかも左右対称なこと。さらに、季節や体調で濃さが変化していく。また、目の回りを避けて出現するのも特徴だ。一般的なシミは小さな斑点が全身どこにでも現れる。
さらに特徴的なのは、30〜40代の女性に突然現れるケースが多いこと。特に日本人をはじめとするアジア人によく見られるのだそうだ。
シミの原因といえば、思い浮かぶのは紫外線。“肝斑”も紫外線と無関係ではないのだが、女性ホルモンが大きく関係していると考えられているそうだ。妊娠時や出産経験のある女性、ピル服用者が30〜40代に“肝斑”を発症するケースが多いが、これは、紫外線などのほかに女性ホルモンのバランスにも影響されると考えられる。実際、“肝斑”が現れるのはだいたい50代後半くらいまで、それ以降の年齢で発症するケースはほとんど見られず、また、“肝斑”が出ていた人も、閉経後は薄くなったり、消えてしまうことも少なくないそうだ。
……と、いろいろ知るうちに、最も重要なことに気がついた。
女性ホルモンが関係していると考えられるなら、いわゆるシミのように、紫外線に当たらないようにして予防したり、できてしまったシミをビタミン剤やレーザー治療などで改善することはできないのだろうか?
「肝斑は通常のシミと異なり、レーザーを照射すると逆に濃くなってしまいますので、原則としてレーザー照射を行いません。皮膚科での治療は、メラニンの産生を抑えるようなトラネキサム酸とビタミンCの飲み薬やハイドロキノンの塗り薬、メラニンの排出を促進するトレチノインといった塗り薬が一般的です。しかし、トレチノインはかゆみや赤みなどのつよい症状を伴う事がありますので、注意が必要です。」
妊娠やピルとは無関係な人も、安心はできない。ストレスや不規則な生活は、ホルモン分泌に大きく関わっている。ホルモンバランスが乱れれば、“肝斑”ができやすい状態になってしまうからだ。
さらに、肌に合わない化粧品によるかぶれや炎症、間違った洗顔やフェイスマッサージによる摩擦なども、“肝斑”の原因になるそうだ。
● 目の周り以外に、左右対称のシミが30〜40代で突然できた
● 紫外線に当たらないのに、濃くなったり薄くなったりする
● ストレスを感じている
● 日頃からフェイスマッサージを念入りにやっている
● ビタミンを補給しても、改善されない
等々、セルフチェックのポイントもいくつかあるが、対処法も異なるのだから、素人判断は危険。シミを見つけたら、ついつい気になり何かというと触ってしまう。が、それがより一層、“肝斑”を招きかねない。
まずは専門の医師の診断を受けることが大切だ。
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