閉経前後の40歳後半から50歳半ばまでを更年期といいます。更年期障害はその時期に起こる不定愁訴ですが、症状の種類、現れ方は一人一人違っていて、非常に苦しむ人からほとんど症状がなく更年期を過ごす人もいます。更年期は、卵巣機能の低下によって女性ホルモンの分泌が急速に減少する時期です。その新しい変化にとまどって、からだも精神面も不安定な状態になります。その上、この時期には子どもの自立や夫の退職など生活環境の変化も多く、精神的なストレスや悩みが追い打ちをかけます。こうして、自律神経の働きに乱れが起こり、それが不定愁訴となって現れるのです。
女性の平均寿命は約84歳。更年期以降も35年近い人生が待っています。 充実した人生を続けるためにも、更年期を明るく乗り切りたいものです。
〈症状〉
症状は多彩です。原因のはっきりしないほてり、のぼせ、発汗、不快感の訴えが最も多く、冷え、動悸、頭痛、腰痛、めまい、不眠、不安、うつ気分、イライラ感の他、便秘や排尿障害、不正出血などの症状もみられます。 ひとりでいくつもの症状を抱えたり、日によって症状が変わることもあります。
〈治療の視点〉
▽西洋医学の眼
のぼせ、発汗など、「血管運動神経系」といわれる症状には女性ホルモンの補充療法が最も効果的です。ただし、これは精神的影響の大きい症状を改善する力はあまりありません。以前は子宮癌誘発という危険性がありましたが、その後開発された投与法でその心配もほとんどなくなりました。ただ、日本ではこの療法に抵抗を感じる人が多いことも事実です。この選択は、医師と相談の上治療を受ける本人が決めるものです。 この他、対処療法としてうつ気分には向精神薬、痛みには鎮痛剤といった薬物療法も行います。
▽漢方治療の眼
不定愁訴に強い漢方は、更年期障害の治療に適しています。気?血?水のバランス是正は、まさに更年期の肉体?精神の不安定状態を正すのに適した考え方なのです。ただし、全身の状態を正すことで結果的に症状を軽減していくので、その効果は比較的ゆっくりです。痛みや精神症状などをすぐにとりたい時は鎮痛剤や安定剤と併用するのもいいでしょう。
更年期障害に最も使われるのは、加味逍遙散、桂枝茯苓丸ですが、証に合わせてチャートのような様々な漢方薬を使い分けます。 加味逍遙散をはじめとしてこれらの漢方薬の多くには精神面の改善効果もあり、ストレス性の症状などの改善も期待されます。
漢方の見方A 〈気?血?水でみる不定愁訴〉
更年期障害も「血の道症」に含まれます。症状は多様ですが、「気?血?水」のバランスからみると、 気の異常:のぼせ、イライラ、頭痛、肩こりなど 血の異常:月経不順、不眠、疲労感、皮膚のくすみなど 水の異常:むくみ、めまい、冷えなど という考え方が出来ます。
☆注意しましょう
頭痛などの痛みやうつ状態などの背景に、原因となる病気がないかをきちんと調べることが 大切です。更年期は色々な病気が起こりやすい年齢でもあり、またうつ病などが背景に隠れ ている場合もあります。そのような原因が見つかった場合は、その治療を最優先します。
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