ボトックスという名で知られるボツリヌス毒素(botulinum toxin)は、脇の下や手の過剰発汗の抑制、またさまざまな不随意筋障害(involuntary muscle disorder)の治療に安全かつ効果のあることが、米国神経学会(AAN)の新しいガイドライン(指針)で示唆されている。しかし、しわ取りに有効なボトックスも、片頭痛や慢性緊張型頭痛には役立たないようだ。
今回のガイドラインは、ボツリヌス毒素に関する入手可能なすべての研究をレビューし、分析して作成。米国物理療法リハビリテーション学会(AAPM&R)はこのガイドラインを支持している。同ガイドラインがボトックス治療を認めている疾患は、頸部ジストニー(組織の緊張亢進または緊張低下)、不随意性の顔面収縮や閉眼、焦点性四肢ジストニー(書痙など)、本態性振戦(しんせん)、ある種の痙攣性膀胱障害など。治療は、ボトックスを患部に直接注射することで行われる。
しかし、研究では、ボトックスは片頭痛や慢性の緊張型頭痛の緩和には効果がないことも明らかになった。ガイドライン著者でドイツ、アウグスブルク病院Augsburg Hospital神経学科のMarkus Naumann博士は「現在入手可能なデータから考えれば、反復発作性(episodic)片頭痛や慢性緊張型頭痛には、ボトックス注射は行うべきではない。これらのタイプの頭痛に対してはプラセボ以上の効果はない」と述べている。
また、研究ではボトックスの腰痛緩和の効果も示唆されたが、同氏は、治療選択肢として認可されるにはさらなる研究が必要としている。今回のガイドラインは医学誌「Neurology」5月6日号に掲載された。
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