薬を飲む時間や飲み方を知らせてくれる電子式ピルケースによって、高齢者の薬の飲み忘れが減少することが新しい研究によって示された。この研究は、このピルケースを製造する米Lifetechniques社(テキサス州)のVesta Brue氏と米メリーランド大学(ボルティモア)P. Ryder氏が行ったもので、ワシントンD.C.で開催された米国老年医学会(AGS)年次集会で発表された。
今回の研究は、4種類以上の薬剤を処方計画に従って服用する65〜85歳の高齢患者を対象としたもの。いずれも自力で服薬し、自由に動くことのできる患者であり、約3分の1が男性。約38%が白人、40%が黒人、22%がヒスパニック系であった。普段の服薬パターンを3週間モニタリングした後、市販されている電子式ピルケース「MedSignals」を利用してもらい、さらに3週間追跡した。
このピルケースは、4種類の薬剤を各区画の中に最大1カ月分収納することができ、服薬時刻になるとビープ音が鳴り、服用すべき薬剤の区画が示され、服用数が画面に表示される。その区画のふたを開けると音声で服用数と服用方法が指示される。ふたを開けた記録が電話回線で送信され、研究者らはふたが開いたことで薬剤が正しく服用されたものとみなした。この電子式ピルケースを購入すると、このような電話回線モニタリング?システムがついてくるという。
その結果、電子式ピルケースによって服薬遵守((drug adherence)が向上することが判明。1日1回以上の服薬を指示されている患者は、このピルケースを用いた場合、1日あたりの服用数が平均1錠多かった。また、患者が薬を飲み忘れた日数は、このピルケースを用いない場合は12%であったが、用いた場合は6%に減少。さらに、指定された時間内での服薬比率も向上した。
米インディアナ大学医学部(インディアナポリス)のDavid Flockhart博士は、服薬遵守が大きな問題で、このような製品の価値を認める一方、臨床試験で認められた効果が実生活では認められないこともあると指摘し、実生活での観察研究による追跡を勧めている。
米国食品医薬品局(FDA)は、高齢者の服薬管理にカレンダーやピルケースを利用することを推奨しており、多数の薬剤を複雑な指示に従って服用する人や、薬剤の容器を開けるのが困難な人では、複数の区画に仕切られたピルケースの利用が特に有効だとしている。FDAはこのほか、高齢者に年に一度の「薬チェック」を行い、使用期限の切れた薬剤を廃棄し、副作用や相互作用について医師や薬剤師に相談するよう勧めている。
同会議で発表された別の研究によれば、5種類以上の薬剤を服用する高齢者の90%以上が「やや不快な」副作用を1つ以上経験しており、3分の1が、気分の変化、不眠、バランス障害、疲労感、めまいなどが薬剤によって生じると訴えているという。
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